バカヤローのそのあとに
僕たちが若い頃は、パワハラやセクハラなんて言葉はありませんでした。
むしろ仕事で失敗すると、遠慮ない罵声を浴びせられながら
仕事を覚えてきました。
現場で不安全設備や不安全行動をしようものなら、いきなり上司から
「危ないだろう!なにやってんだ、バカヤローぅぅぅ!!」
と怒鳴られました。
いまなら、なんてデリカシーのない上司だと思われそうです。
でも、考えてみるとそれも部下を育てる術だったのかもしれません。
あの頃、上司は「バカヤロー」としか言いませんでした。
正確には、言われまくっていました(笑)。
でも、自分で「何がいけなかったんだろう」と必死で考えました。
わからないときには先輩に聞きました。先輩にもわからないときは
「たぶんこういう意味だと思うぞ」
と、推察してやり直して、それが違っていたらまた怒鳴られて…と、
自分で考えていました。そうやって仕事を覚えてきました。
現代はどうかというと、あまり怒鳴ることはありません。
それよりも理路整然と、どこがいけないのか、なぜいけないのかを言って
聞かせることの方が多いです。
言われる若手からすると、理不尽な怒られ方をするよりも、理解も納得もできるでしょう。
でも、自分で考えているかというと疑問が残ります。
言われたことだけを理解していても、考える力が身につかないのではないでしょうか。
やたらと効率を求める時代です。
技術は、先輩の姿を見て盗むのではなく、教えて育てる時代です。
それでも、自分で考えることは、やはり大事だと思います。
上司にもそうした心の余裕が必要ですね。

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