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ゴミを拾うことは幸運を拾うこと

 

ゴミを拾うことは幸運を拾うこと

 

 

ある若い現場所長がいます。

 

彼は、現場を巡視するたびにビニル袋を持って、

ごみを拾いながら見て回っています。

 

そんな彼の姿を見ながら、エライなーと思いながら、

ふと昔を思い出しました。

 

僕が若い頃は、まだ職人さんたちは現場で

当たり前のように喫煙していました。

 

当時は

「くわえたばこ禁止」

と注意していたレベルでした。

 

現場のあちこちに吸い殻が落ちていて、

それを拾うのが僕たちの仕事でした。

 

水中ポンプの吸い込み口の穴にたばこの

フィルターが詰まっていることもしょっちゅう

ありました。

 

やがて僕が所長になるころには

「場内禁煙」

が常識になり、現場から吸い殻が消えました。

 

でも建設現場には、番線クズや細かなごみが発生します。

 

それを拾うのが所長の僕の役割になりました。

 

 

なぜ所長が拾うのかというのには二つの意味があります。

 

一つは、現場の最高責任者である所長がゴミを

拾う姿を見れば、安易にゴミを放置しないという

現場風土が築けるということです。

 

もう一つは、所長がゴミ拾いしているということは、

現場が順調な証拠だということです。

 

つまり所長としてゴミ拾いに専念できると

いうことはある意味喜びなのです。

 

 

 

大リーグの大谷選手もグランドに落ちている

小さなゴミを拾ってポケットに入れていると

いう話は有名です。

 

そのことをTvのキャスターの聞かれて、

「ゴミを拾うことは幸運を拾うことですから」

といっていました。

 

小さなことですが、なかなかできることではありません。

 

 

そんなことを思いながら、彼の姿と当時の思いがラップしました。

 

その若い所長は、先日、当社で最大規模の工事を

無事やり切りました。

 

やはり、場を清めると自分の心も清まるのです。