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忘れられないあの時の職長

 

がんばれ現場監督     ~ 忘れられないあの時の職長~

 

 

僕が、若い頃測量のミスをして、せっかく

作った型枠を作り直さなくてはならなくなり

ました。

 

間違ったって言ったら、ド叱られるだろう。

 

その時、何とかごまかしたいという気持ちや、

俺のせいじゃないよという言い訳が頭の中に

いっぱい出てきました。

 

でも、今ごまかしても、気付かないふりをしても

あとからもっと大変なことになります。

 

僕は、思い切って職人さんに告白し、

頭を下げて頼みました。

 

ただでさえ工期が厳しい中、皆ピリピリしていました。

 

「なんだと、バカヤロー!どうすんだこれ。

ちゃんと確認しねぇからだ」

 

とものすごい勢いで怒鳴られました。

 

でも、しばらく沈黙があった後…

 

「わかったよ。今ならまだ間に合うよ。

コンクリート打つ前で良かった。

心配するな。徹夜してでも間に合わせてやるから!」と。

 

あの時、背の低い小柄な職長がとてつもなく大きく見えました。

 

その職長の掛け声に呼応するように、若い職人さんたちが

一斉に型枠を外し始めました。

 

暗くなった後も投光器の明かりの中、白い息を吐きながら

型枠を組み立てる音が響いていました。

 

建設現場には、こんなにも熱い職人さんがいるのです。

 

3K(キツイ、キタナイ、キケン)なんていう比喩は

現場を知らない人の言葉です。

 

建設現場では、今日も感動、感謝、カッコイイが

いっぱい繰り広げられています。