建設現場では、作業に入る前に「危険予知訓練」
というものを行います。
これは、あらかじめ当日の作業における危険な
点を予測して、それに対する注意喚起や対策を
とろうというものです。
頭文字をとって「KYK」と呼びます。
しかし、その実態はどうかというと、
大抵は形骸化したものばかりです。
職長がめんどくさそうに書いた文字が「記録」と
して残っているだけで、本来の「危険予知」と
しての効果はそこにはありません。
本人たちの自覚の問題といえば身もふたも
ないのですが、ある現場では、このKYKを
効果的に行っていました。
その現場では、現場監督が、書記と司会を担い
一人ひとりに問いかけていました。
「足元が滑る」
などのいつもと同じようなセリフが出るのですが、
「それって、具体的にどういう状態のとき?」
と問いかけながら、どんどん具体化していきます。
記入用紙には、追記したり書き直したりで、
決して読みやすいものではないのですが、
その間、一人ひとりの職人さんが現場の状況を
頭に描いていました。
記録より大事なのは、どんな危険を予測して
その危険にどう対処するかという「記憶」です。
人は、誰かから言われたことはすぐに忘れて
しましますが、自分で発言したことは忘れません。
一人ひとりが主体的になれるこうした取り組み
こそ、本当の意味での安全管理だと思います。
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