躯体

建築工事で主要な構造部をつくる工事のことを躯体工事といいます。土台を固めて建物の骨組を作ります。まずは、建物の基礎部分と地階部分の地下躯体工事を行います。地下水等が浸透しないよう注意しながら作業を行います。そして、建物の骨組みである鉄骨を組み立てます。クレーンで吊り上げ、とび職人さんが高所で鉄骨を建てていきます。骨組みが出来たらコンクリートで肉付けを行います。

建築物における構造の主な種類

建築物は使用する材料によって様々な種類があります。

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■木造

大部分を加工性に優れている木材で構成された建物です。木造は、火に強く、強度を保ちながらも柔軟性を持ち合わせているという粘り強い構造です。柱や梁など主要な構造を木材の軸組みで構成する「在来軸組構法」や、決まった大きさの角材と合板で壁や床、天井、屋根を構成するツーバイフォー構法である「枠組壁工法」、主に体育館で用いられる集成接着した木材で骨組みを構成する「集成材構造」などの種類があります。

■ブロック造

コンクリートブロックをモルタルで接着しながら積み上げて壁をつくり、鉄筋を入れたコンクリートを充填し、補強する構造です。耐火性や耐久力、断熱性能が高く、施工が簡単という利点があります。

■鉄筋コンクリート造(RC造)

主に鉄筋の入ったコンクリートで構成された建物です。耐火性が大きく圧縮力に強いコンクリートと、引張力に優れた鉄筋の特性を活かした構造です。その他、耐震性や遮音性も高く構造自体が強いことも特徴です。マンション等で用いられる、柱と梁をつないだ骨組構造である「ラーメン構造」や、壁板と床板を一体に構成した「壁式構造」などの種類があります。

■鉄骨造(S造)

主に骨組を鉄骨で構成された建物です。H型や箱形などの断面形状をした鋼材を組み立てて、骨組みをつくります。

■鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

鉄骨の柱の周りに鉄筋を配しその外側に鉄筋を組みコンクリートで固めた構造です。強度が優れているため、主に高層建築で用いられることが多いです。

躯体工事の種類

躯体つくる為に様々な工事が行われ、多くの職人さんの力が発揮されます。

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■基礎工事

構造物がその役割を存分に発揮するための土台をつくる仕事で「縁の下の力持ち」と呼ばれています。土台をしっかりさせるために、鋼管杭や既成コンクリート杭、場所打ちコンクリート杭といった基礎杭を、機械力と技術力を駆使して、地中に確実・丁寧に設置することが基礎工事の役割です。作業現場は主に屋外で、基礎杭の埋設作業は、作業員による作業と杭打ち機による作業に分かれます。

■土・コンクリート打設工事

土工事は、建設工事で土を対象とした作業全般をいいますが、主に、基礎を作るための掘削作業です。工事はまず機械と手作業で行います。特に基礎となる地盤は、荒らさないためにもスコップで掘ります。基礎工事に入る前の大切な作業です。
コンクリート工事は、生コンクリートを流し込み、打ち込みながら振動機等で締め固めます。建物、道路、橋梁など多くの建築物はコンクリートで出来ている為多くの現場で行われる工事です。

■とび工事

建設現場の仮囲いの設置から始まり、足場の組み立て、鉄骨などの重量物の据え付け、足場の解体といった様々な仕事を担うことから、建設現場に最初に入り、そして最後にすべてを取り除くまで現場に残ります。特殊技能も必要ですし、高度なチームワークも求められます。主に高所での作業を専門に行います。

■型枠大工工事

鉄筋コンクリートの建物は、軟らかい段階のコンクリートを建物にあった形に加工した「枠」に流し込んで、その形に固めてつくります。この枠のことを「型枠」と呼びます。そして、その「型枠」をつくり込む仕事が型枠大工工事です。コンクリートは、固まったら元には戻らないので、失敗するとやり直しが利きません。型枠大工の責任は重大です。

■鉄筋工事

鉄筋コンクリート建造物のコンクリートの中には、骨組みとなるかご状の鉄筋が埋め込まれています。鉄筋を組み立てていくのが、 鉄筋工事の仕事です。鉄筋工事の仕事は工場から始まります。まず図面から、使用する鉄筋の種類・数量を読み出し、工場内で鋼材を切断し、曲げ加工をします。そして、できた材料を工事現場に運んで、図面に従って「知恵の輪」のように組み上げます。

■生コンクリート圧送工事

建設現場に搬送されてきた生コンクリートを、コンクリートポンプ車で圧力をかけて現場内の型枠内に圧送して打ち込む工事です。コンクリート構造物の施工は、建設産業の中でも大切な部分を占めており、その重要性を増しています。コンクリート圧送工事は、コンクリート製造業者や鉄筋工、型枠工、土工など様々な職種の人と連携し、一体となって進められることから、いろいろな人とのつながりや刺激を感じることのできる職場環境です。

■鋼構造物工事

鋼材(スチール)を骨組みとするビルや橋(構造物)を製作し、現地に据え付ける仕事です。仕事は現場での施工だけでなく、多岐にわたります。日本の鉄骨建築技術や橋桁の製作・架設の技術は、世界屈指と評価されており、海外への技術援助でも大いに貢献しています。1人ひとりの技術力と判断力が、製品や工事の仕上がり具合に大きく反映する仕事です。

■解体工事

住宅、ビルなど不要となった建物を取り除き、土地の価値を高める仕事です。解体工事から発生する木材、コンクリート、アスファルトなどの副産物は、大切な資源として再使用や再利用し、資源循環型社会の構築を担っています。施工管理をする人と現場作業に従事する人に分けられ、施工管理は、作業・工程・原価・安全・環境保全など多岐にわたる項目を管理するので、高い管理能力が要求され、様々な資格取得も求められます。現場作業では体力が必要ですが、重機の操縦や建設副産物の運搬などがあるため、運転免許をはじめ様々な資格が必要です。環境意識が高く創意工夫が得意な人に向いている職種です。

Pick UP!!

躯体工事に関わる仕事をいくつか詳しくご紹介します。

型枠大工

型枠大工

 建物を形づくるコンクリートを流し込むための木製の枠を「型枠」といいます。壁や柱、床や天井といった建物の仕上がりに影響する重要な仕事です。建築で使われる部材の多くは工場で加工されて現場に運ばれます。現場では、加工された部材を取り付けたり、さらに加工をして組み立てて型枠を作ります。型枠は仮設の枠なので、コンクリートが固まれば外します。

 この業界は「知恵と技を武器に、常に創造性を発揮する者が能力があるとされる世界」なのです。歯車の一つに組み込まれたような人生を送るよりも、自分の裁量で仕事をしたいと思っている人たちに、うってつけの仕事です。一方で、この仕事は、1人で全部をこなすことはできません。チームワークが重視される作業なので、協調性が欠かせません。経験を積んでリーダーとなれば、工事をするための技術力だけでなく、現場を仕切る統率力が求められます。

 型枠は取り去るものですが、自分がつくった型枠から生まれた建物が世の中に残っていくことは、やりがいがあり、出来上がった建物は忘れられないものになります。

型枠大工・紹介動画

鉄筋工

鉄筋工

 鉄筋とは、コンクリートの中に入れる骨のようなものです。図面から使用する鉄筋の種類・数量を読み出し、工場で鉄筋を加工します。現場では、たくさんの鉄筋を整然と並べ、動かないように針金で縛っていきます。その姿は目にもとまらぬ早業です。

 建物の構造力学的に重要な仕事なので、材料の選別・正しい加工・配筋基準に沿った取り付けを行うための技術と知識が必要です。重量物を扱う仕事であり、ある程度の体力は必要ですが、機械や重機を使うようになってきているので、女性も働いています。また、国家資格として、鉄筋施工技能士が制定されています。最近では、工事着手前の施工計画や施工図の作成、施工方法の改善、他の職種との工程調整など、守備範囲も広がっています。

鉄筋工・紹介動画

とび工

鳶工

 建物の骨組みや工事の安全設備をつくります。最初に現場に入り、現場廻りの仮囲いを組み立てた後、足場を組み立て、最後には足場を全て解体するまでが仕事です。躯体工事の施工においては常に各職の先導役になります。重機類の組み立て・解体や操作を行うこともあります。仮設工事、鉄骨建方工事、PC取り付け工事などを担当します。建築現場の職人の間では、高所を華麗に動き回ることから、「現場の華」とも称されます。

 梯子乗り、木遣り、纏振りなど伝統芸技の保存と普及にも努めています。