仕上げ(外部)

仕上げ(外部)は、建築物と環境を保護する仕事です。防火性、断熱性、遮音性、防水性など表面性能を高めます。また、全体のイメージに大きな役割を果たす役目もあります。タイル張りや窓サッシなどの外部建具を取り付ける作業、金属カーテンウォール、PCカーテンウォールなどの外装材の取り付け等を行います。

仕上げ(外部)工事の種類

多くの職人さんが様々な工事を行うことで、仕上げ(外部)工事を形作っています。

※工事名をクリックすると詳しい説明が読めます。

■左官工事

もともと日本古来の土壁塗りを形成するため、天然産の土や粗原料を施工現場で調合し、熟練した技能によって塗りつけていたものがルーツです。特に、寺社建築などでは、芸術的な建造物の造形を担ってきましたが、最近は塗装、ブロック壁装、張り床などの仕上げ工事や、仕上げ工事のための下地づくりが多くなっています。
全国左官技能競技大会があり、全国から選抜された高度な技術を持つ優秀技能者が、伝統工法、現代工法など様々な工夫を駆使した課題を仕上げ、左官の日本一を競います。また、22歳以下を対象とした技能五輪全国大会もあり、金賞受賞者は技能五輪国際大会への出場権が得られ、世界一を目指すことができます。

■防水工事

防水工事は「雨露をしのぐ」ために非常に重要な役割を担っています。近年、地球環境を考慮した都市創造の一環として、屋上緑化や太陽光発電が注目されていますが、防水工事業はこうした工事と関係が深い仕事です。防水工事と屋上緑化や太陽光発電設備設置を組み合わせた技術は、人に優しい環境づくりに貢献しています。防水工事は、屋外では屋根、屋上、ベランダ、バルコニー、開放廊下、外壁などで、屋内では厨房、浴室、便所、シャワー室などで、そのほか各種の水槽や地下施設などで行われています。地震国であり、降水量も多い日本では、将来的にもより高度な防水技術は不可欠です。同時に、工事の目的に最もかなった材料を選択する際、適材適所の判断ができる技術者と様々な工法を的確に施工できる技術者が、ますます求められていきます。

■塗装工事

塗装工事は建築物の最後の仕上げの仕事です。ビルやマンション・住宅などを美しく装うことはもちろんですが、塗装は建物の保護に重要です。塗装は、建物を長期にわたって保護するとともに、街の景観や快適性の向上も大きな役割です。塗装工事は、建築を中心に、橋梁、タンク、プラント、道路、ライン、土木構造物、コンクリートなどの塗装工事を行っています。人々は、美しく快適な生活環境を求めています。新しく便利な街や建物をつくると同時に、古くなった建物を塗装によって再生し、生活者により適した住環境を求める動きが活発になっています。このような需要の変化に伴って、塗装工事業で働く人々には、ますます技術・技能の質的レベルアップが必要となっています。
技能者には、国家検定である「塗装技能士」の資格があり、より高度な技能・技術を備えた 「登録建設塗装基幹技能者」制度もあります。常に新しいことにチャレンジし、自己の能力を高めることのできる仕事です。美粧性の高いインテリア塗装や、繊細な仕事の分野では、女性スタッフの進出は必至。これからの塗装工事業界は、女性の皆さんが伸び伸びと自分の能力を発揮していける職場です。

■組積工事

石やコンクリートブロックなどにモルタルを詰めて積み重ねて間仕切りブロック等を作る工事です。

■板金工事

長い伝統に培われた繊細で精緻な技能や技術を生かし、現在では雨水処理の専門家として、屋根や外壁を中心とした建築外装系の仕上げ施工の仕事を行っています。風雪に耐え、年月を経て風格を増した緑青の美しい屋根には、「鋼」という金属の性質を知り抜いた建築板金の仕事の技能と技術が結実しています。伝統に根ざしながらも、建築板金は現代と向き合っています。モダンなフォルムの美しい屋根など、新素材や新構工法を駆使した現代の一般建築物から巨大建築物に至るまで、伝統技能とハイテクが融合した建築板金の仕事が重要な役割を果たしています。
建設現場における施工が中心となるため、体力自慢のタフな男性が多いですが、材料の加工では手先の器用さや繊細な美的感覚も求められるなど奥の深い職種でもあり、近年では女性の入職者も増え、ますます活躍の場が広がっています。

■屋根工事

瓦などの材料を使って、建築物の屋根をふく仕事です。瓦屋根がこれだけ日本人に親しまれてきたのは、瓦という素材自体が断熱性や耐火性、耐久性に優れていたことはもちろん、耐震性や美観をつくり込んできた屋根工事業の技術・技能に負うところが大きいのです。瓦屋根は、過酷な自然条件に何十年も耐え、多くの人の目を和ませ続けます。

■金属製建具工事

ビル、マンション、住宅などに取り付ける窓(サッシ)を中心に、ドアやシャッターなどの建具を製作し、取り付ける仕事です。軽量で加工しやすく耐久性にも優れるアルミニウム合金製のほか、ステンレス鋼やスチール製の建具を扱います。オフィスなどの高層・超高層ビルでは「カーテンウォール」と呼ぶ製品が多く用いられ、外壁全体が大きな壁や金属パネルで構成されています。カーテンウォールは建物の外観を左右する「顔」で、その設置は建具と並び金属製建具工事業の重要な仕事です。建具やカーテンウォールには、現代の自然環境や生活環境の大きな変化に対応すべく、 機能性はもとより、耐風圧性(風)、水密性(雨)、気密性(空気)、遮音性(音)、耐震性(地震)などの性能が高まっているほか、断熱性(温度)や日遮蔽(日射)を考慮した省エネルギー化が求められています。近年では太陽電池やLEDを組み込んだ製品や、カーテンウォールを二重にして冷暖房負担を軽減し、省エネルギーに対応した例もあります。今後もますます異種材料との組み合わせや異業種との共同開発などが活発になるでしょう。

■ガラス工事

ガラスの加工や取り付けを行う工事です。近年、人の力のみでは施工できないガラスもあるので、クレーン等の重機を使用して施工する場合もあります。割れることのあるガラスを扱うので、常に安全に配慮して工事が行われます。

■造園工事

造園工事は木を植えるだけでなく、庭園から都市空間、自然空間にまで広がっています。生き物である植物や石など自然の素材を上手に生かして、「美しい景をつくり育てる」総合的な仕事です。豊かで潤いのある暮らしをつくるために、あらゆる場所で活躍しています。また、工事が終わった時が完成ではなく、植物の成長や周りの景色へのなじみなども考えながら時間をかけてつくり上げ、未来に残すという特性を持っています。快適な空間を提供するとともに、防災やCO2の削減など、都市環境の改善にも役立っています。

Pick Up!!

仕上げ(外部)に関わる仕事をいくつか詳しくご紹介します。

左官工

 工作物に壁土、モルタル、漆喰、珪藻土等を「こて」塗り、吹きつけなどにより、最終的な表面仕上げをする仕事です。長年培われてきた伝統技能によって確立されてきた多くの工法は、今もなお現代建築に柔軟に対応しています。また、近年手仕事による仕上げの多様性や味わいが再認識されています。

 全てが手仕事(手作業)仕上げなので、根気と丁寧さが求められます。多種多様な「こて」を使って1ミリ単位の精度で壁などを仕上げますが、出来上がりは、ひと目で判断され評価されることから、そこに仕事の素晴らしさや楽しみがあります。